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図1:加齢にともなう間違い回数
 「赤はゴム球を握り、黄色は握らない」といった簡単な課題(GO/NO-GO課題)を36年間にわたりおこなってきた調査では、1969年の日本のこどもは、課題の間違い数が加齢と共に減少しましたが、1979年の調査から、小学6年生に間違いが急増し、間違い数は加齢と共に減少しなくなってきました(図1)。この原因を追求していくと、日本のこどもの遊びが鬼ごっこ・野球・かくれんぼといった、からだ全体を動かす動的な遊びから、テレビ・テレビゲームという静的な遊びに移行していることが分かってきました。鬼ごっこ・野球・かくれんぼは決して一人ではしないことから、日本の子どもが運動・スポーツをしなくなるということは、3次元の空間認識や骨・筋肉を動かさなくなるということに留まらず、人と人とがお互いにふれ合う、コミュニケーションがなくなってい くことを意味することが予想されます。オハイオ大学で行われたウサギの実験では、両群に毎日、高コレストロールの餌を与え、一群には何もしないで、もう一 群はヒトと一緒に遊んだり抱擁したりする時間を与えたところ、その群のウサギは、何もしない群よりも高脂血症になる率が約60%減少することが報告されて います。また、2年以内に死亡すると予想された女性の乳癌患者(86名)を2分し、一方は今までの治療方針である放射線療法A群と投薬、そして残りは放射 線療法と投薬プラス週に一回のグループセラピーB群といった、人と人とのふれ合いを意味するコミュニケーションをノルマとして加えた結果、後者のグループ は前者に比べ2倍以上も生き延びたことが報告されています。これらのことを考えますと、人と人とがふれ合うコミュニティーの重要性がうかがえます。それに 加え、スポーツや運動時では,空間と時間との認識の中で、自分と他人を含め、インタラクティブな行動の制御をしていかなくてはなりません。このようなス ポーツ・運動・会話が可能なヒトの脳と同様なシステムを機械工学的に組み込もうとすると、脳の千億個のニューロン×数千個のシナプス=数十兆個のパラメー タを制御しなくてはならず、ここが現在の機械工学の限界とも言われています。このようなことから、スポーツ・運動・会話という,人と人とがふれ合うコミュ ニケーションは、脳内の神経回路をフルに活用し、互いに連係させながら、情動・運動・感覚・記憶・学習・認知・思考といった情報を選択・保持・整理・統合 し、目的情報の生成と制御をほぼ同時に行なっていると推察されています。このことから、子どもやシニアにとって、スポーツ・運動・会話は私達が生きていく 上で非常に大切なことで、失ってはならない重要な意味をもつものと考えられます。 .
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